探偵ブログ

探偵の恩返し

世の中が忙し過ぎるせいでしょうか、それとも裕福になり過ぎたせいでしょうか、近年めったにご恩返しという言葉を耳にすることがなくなってしまいました。

子供のころに鶴の恩返しという昔話を読んだことがあります。

本来の物語のもつ意味は多少違うところにあるのかも知れませんが、当時の私にとって感動作であったことだけは確かです。そんな私も既に親を見送る立場の年齢になりましたが、未だに恩を仇で返すようなことばかりでお恥ずかしい次第です。恩といえば男性の場合、仕事に関係することが多いようです。社長や上司からの恩は勿論ですが、私の一生の恩はある先輩から受けたものです。私達探偵も民間の会社と同じ実力の世界、成績が悪いと居場所がありません。入社して3年目のころ、私は成績がまったく上がらなくなり本当に苦しい時期がありました。それまで順風だったせいか、日ごろなら簡単に済む仕事も焦れば焦るほど余計に上手くいかなくなり悪循環から抜け出せず、このままだと会社を辞めざるを得ない状況でした。そんな私の
姿を見かねてか、ある先輩が私の窮地を救ってくれました。ある日、自分の仕事を終えてさっさと帰ろうとする私に先輩が声を掛けてきました。今から仕事を手伝ってくれと言うのです。私は内心、人の仕事だし早く帰りたかったのですが、なぜかその日は二つ返事をしていました。それから毎日、私は先輩の仕事を手伝わされるようになり、ようやく一週間後その仕事は先輩の手腕により良い結果をもたらしました。私もほっとして先輩と別れようとすると、先輩は、この仕事はすべてお前がしたことにするからな、明日、上司に報告しろよと言って立ち去りました。次の日、出勤してみると私のデスクには分厚い書類が置いてありました。中身を確認してみますと一週間、根を詰めた完璧な報告書でした。しかもご丁寧に担当者は私になっています。書類の下には置き手紙らしきものがあり、昨日までご苦労様、出世払いでいいよと書いてありました。私はこんな大切な物を頂く訳にはいきませんので、慌てて先輩に連絡してみましたが、あいにく有休で連絡が取れません。しかも報告の締め切りが本日となっており、今すぐ上司に渡すよりほかはありません。私は意を決して先輩の苦心作を上司に手渡しました。おかげさまで私は未だにこの会社に勤めています。先輩はというと、数年前に現役を退き釣り三昧の日々です。私は情けない話ですが未だに恩返し出来ないまま今日に至っております。でも私はあの日から、自分のためだけではなく人に尽くせる人間になろうと決めました。するとあの日を境に今までの不調がうそのようにどこかに消え去っていきました。20年程経った今もあの時の気持ちを忘れずに働いていますが、密かにそれがせめてもの恩返しになればと思っています。

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